半導体

半導体とは何か。何故半導体不足になるのかわかりやすく解説

このブログに何を書いていこう。ブログを開設したのはいいが悩みは尽きません。

せっかくなので比較的一般の人より詳しいことを書いていこうと思います。

僕は半導体製造業に従事して10年ほどになります。もちろん一般の人よりは半導体に精通していますしその原理もある程度理解しています。

出来るだけ専門用語無しで半導体について解説していこうと思います。

半導体とは

『電気を流しやすい導体と電気を流さない絶縁体の中間の性質を持つ物質』

つまりどういうことか、ざっくり言うと『状態(物質の温度等)によって電気が流れたり流れなかったりする物質』です。

半導体と言っても物質単体を指すことは少ないです。

半導体材料を加工して製造したチップやIC(集積回路)が世間で言う半導体です。

よく言う半導体不足とはこの半導体製品の供給不足を指します。(もちろん元となる半導体材料の供給不足もありますが)

半導体の用途

半導体製品の主な機能はスイッチング機能です。

従来のスイッチ(部屋の照明を点けるような物理的なスイッチ)では手動で電化製品を操作する必要があります。

しかし、半導体製品を用いてスイッチのON/OFFを行うことで遠隔操作や自動的な操作、高速動作が可能になります。

このスイッチング機能を利用して様々な制御を行なっています。

制御の中心部である半導体製品が無いとあらゆる物の生産が停止してしまいます。

なぜ半導体不足が起こるのか

理由はいくつか思いつきますが、仕事を通して実感するのは

  • 部品/材料の供給不足
  • 急な増産対応の難しさ

です。

部品/材料の供給不足

半導体製品を作る為の装置はかなり特殊です。

工場と聞くとベルトコンベアのような流れ作業をイメージすると思いますが、半導体工場は手作業はほぼありません。

装置が勝手に製品を処理してくれる為、作業者の主な仕事は製品の段取りや装置のメンテナンスになります。

つまり装置がどれだけ安定して稼働しているかが生産の要です。

しかし、半導体製造装置は特殊な部品が壊れてしまうと中々部品が届かずその間生産が止まってしまったりします。

製造に使用するガスや薬液、石英ガラスなどの特殊な材料の調達も大変です。

半導体はゴミを嫌います。材料の純度や清浄度はかなり高品質で、供給出来るメーカーが限られています。

これらの部品/材料の供給不足で半導体製品が製造出来ず、世の中の需要に追いついて行かないことが一つの要因になります。

急な増産対応の難しさ

半導体製品は材料の投入から完成まで1ヶ月~2ヶ月は普通に掛かります。もしかしたらもっと掛かっているかも。

そして、世の中の需要に大きな波があります。具体的には景気が良くなる前段階から需要が伸び始め、景気が悪くなると需要が少なくなります。

これは半導体製品が搭載されている家電や電車、自動車などの需要とリンクしているからです。今回のようにコロナなどの想定外の不景気からの立ち直りにはついて行けません。

今後の半導体

半導体はほぼ全ての電化製品に使用されています。

将来的にも需要が無くなる可能性は少なく、未来は明るいといっても良いかもしれません。

現状、小型化と性能において日本は海外に遅れを取っていますので、日本においては今後どうなるかわかりません。熊本に台湾の半導体会社(TSMC)が来ることも話題なっています。

熊本においては今後、半導体の県と呼ばれることになるかもしれませんね。